2022年10月20日、この日の東京外国為替市場は更なる円安が進み、円相場は一時1ドル=150円台まで値下がりしました。これは、1990年8月以来の円安水準で、約32年ぶりの円安となります。これは輸出企業にとっては追い風になっています。因みに、2024年4月1日時点でも1ドル=151円台となっていて、依然円安傾向にあります。
こうした背景もあり、2022年10月に閣議決定された経済政策に「新規輸出1万者支援プログラム」が盛り込まれ、12月16日に経済産業省が支援プログラム概要を発表しました。
概要として、経済産業省、中小企業庁、独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が一体となり、全国の商工会・商工会議所などとも協力しながら、
①新たに輸出に挑戦する事業者の掘り起こし
②専門家による事前の輸出相談
③輸出用の商品開発や売込みにかかる費用の補助
④輸出商社とのマッチングやECサイト出展への支援
を一気通貫で実施するとしています。
同日からジェトロでは新規輸出1万者支援プログラムのポータルサイトも立ち上がり、輸出を検討している事業者の登録も開始されています。
また、上記プログラムとは別に、ジェトロでは「デジタル化の潮流をとらえた中堅・中小企業の海外展開が自律的に拡大する仕組みの構築を目的として、中堅・中小企業の海外への輸出を支援する民間事業者による新たなビジネスモデルを構築するための実証的な取組に対する支援」(ジェトロホームページより抜粋)を実施していて、先日もこれまでの取り組みの事例や実績の報告が行われていました。
現在の円安に関わらず、以前から日本国内の人口減少や市場縮小について懸念されていましたし、既に海外への輸出をしていたり、前向きに動いている中小企業もたくさんあります。まだという中小企業も、これを機に検討してみるのも良いかもしれません。
ただ、弊協会もこれまで中小企業の海外展開の支援をしてきましたが、あくまで主体は輸出をしたいと思っている企業であり、自分たちが積極的に動くことも必要になるでしょう。今回のプロジェクトはあくまで「支援」なのです。また、海外展開にはある程度の費用や時間も必要になりますし、人材も不可欠です。そういった認識が甘いとせっかくのチャレンジもうまくいかない可能性が高くなってしまいます。残念ながら、そういったことを理解していない中小企業もいることも事実です。このブログを読んでいただいている皆様がそうでないことを期待しています。
とはいえ、せっかくこのような支援プログラムがあるのでうまく活用し、1社でも多くの中小企業が海外輸出、海外展開にチャレンジし、そして成功を収めることが何よりです。日本の中小企業がどんどん国際化に向け動いていくことを楽しみにしていますし、私たちも応援しています。頑張りましょう!