海外展開は積極的に進めるべきだと思いますが、必ずしも全ての企業が当てはまるわけではありません。以前ある企業さんのから、「国内での販売はうまくいっていないけど、海外は市場も大きいし、日本製品は評価が高いので、海外で販売したい」というご相談がありました。また、「海外進出の予算はほとんどないけど、インターネットで販売すれば大丈夫ですよね」という方もいました。
確かに、海外での日本製品の評価は高いですし、ただ販売サイトに商品情報を掲載するだけならそれ程費用は掛かりません。ただ、海外市場は、日本以上に競争が厳しいですし、簡単ではありません。日本で売れないものは海外でも売れません。最近は、海外の人もインターネット、SNSなどで情報収集してどの商品が人気があるのか確認をしますし、中国人などはブランド好きなので、知名度のない商品は買いません。更に言えば、日本製は高品質という認識をもっている人は多いのは確かですが、それが自社商品を購入する理由にはなりません。日本同様、競合がいるのです。
インターネットで販売するときにも同じことが言えますが、自社商品を知ってもらうために広告・宣伝は必要である程度お金はかかりますし、認知度を上げるためのプロモーションには手間と時間もかかります。活動当初はなかなか販売実績が伸びないことが多いですし、黒字になることもほとんどありません。リアルでの販売も、海外企業との取引するためには何度も商談をしますし、そのためには現地に赴いたり、サンプルを作ったり、外国語の資料を作成したり、通訳を雇ったりもします。
海外展開が最初から順風満帆ということはほとんどありません。たまたま、自社商品がSNSで話題になって販売に繋がった例などがメディアに取り上げられたりして話題になることがありますが、それはほんの一握りなのです。海外展開は想像しているより難しく、時間や費用も掛かるからこそ、先ずは、自社がなぜ海外展開を目指すのか、その理由をしっかり考えましょう。そのうえで、目的達成をするためにやるべきことを明確にする必要があります。そうでなければ、早々に撤退するか、もしくは成果がでないままズルズルと海外事業を続けてしまうことになりかねません。
中国展開を目指したある経営者の方は、「弊社では3年間は中国事業を続けます。そのための部署を新設し、中国人も採用します。ただし、予算は◯円までで、3年の間に売上目標◯円が達成されなければ中国事業から撤退します。」と宣言されていました。このように基準が明確になっていれば、事業の継続か撤退を判断しやすくなりますし、社員も予算と時間のなかで何をどうやっていくべきかを考えやすくなります。
海外展開を検討している方は、ぜひ目的や目標を考えてみてください。