海外展開のメリット~売上とコスト~

海外展開のメリット~売上とコスト~

2022年7月に国連が発表した世界人口推計によると、世界人口は2022年に80億人を超えました。今後は2037年頃に90億人、2058年頃に100億人を突破すると予測されています。

一方で日本の人口は、内閣府のデータによれば2048年には1億人を割って9,913万人となり、2060年には8,674万人になると推計されていて、減少の一途を辿ります。高齢化率も40%近い水準になることが予測されています。

所得についても、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、2022年の日本の平均所得は35カ国中22位となっています。平均所得が1位のアメリカと2位のアイスランドは、2000年からの20年間で、ともに約25%も上昇しています。韓国は約44%の大幅な上昇となっていますが、日本は0.4%にとどまっています。また、経営幹部や管理職の賃金も、中国や韓国、タイ、フィリピンにも抜かれているというデータもあります。

近年、アジアの各国では法定賃金の引き上げが続いており、タイやベトナムやインドネシアやカンボジアといったアジア諸国においても、最低賃金のベースアップが毎年のように実施されています。対する日本の最低賃金は、それらのアジア諸国と比較して依然として高いものの、それらの国々との最低賃金ベースの格差は年々縮まりつつあります。

このように、日本は少子高齢化が進み生産年齢人口が低下し購買力が下がる一方、世界の市場は拡大していて、この市場で売上をあげ経営の安定化を図ることがメリットのひとつとなります。

ふたつ目のメリットは、人件費や原材料費、税金などのコスト削減です。

日本と比較した場合、アジア諸国などの労働者の人件費は依然安いことも事実です。また、原材料となる鉱物資源や農産物なども、日本国内で調達するよりも海外のほうが低価で購入できます。

日本の法人税の原則税率は、23.2%です。これはOECD(経済協力開発機構)加盟国の先進国で比較した場合14位で、ずば抜けて高いというわけではありません。しかし、例えばアジア諸国の場合、「外資優遇制度」があり、外国企業における投資促進を目的とした各種の優遇制度があり、これが大きなインセンティブになります。経済特区(経済発展のために法的、行政的に特別な地位が与えられた、外国資本や技術の導入を目的とした地域)に進出する外資企業には、法人減税などの優遇制度が適用されることがあります。これは、海外に拠点を持つことで、節税効果が期待できるということです。

その他には、新事業分野への進出の可能性があります。従来とは異なる取引先やビジネスパートナーの存在は、既存ビジネスの枠を超えた事業展開に繋がることも期待できます。日本とは違う文化や商習慣に接することで、「新しいノウハウ」を吸収することもありますし、人材活用においても、現地人材をマネージメントすることで経験値が上がり、別分野で活かすことができるかもしれません。

最後に、グローバル化による自社や自社商品、サービスのイメージや認知度の向上、ブランディング効果も見込めます。これが企業価値を高め、結果として日本国内の事業への波及効果も生じることもあります。

このように、海外展開には様々なメリットがあります。

海外展開ガイドカテゴリの最新記事