「海外展開」とは、輸出や直接投資以外にも、輸入、海外企業との業務提携や取引、インバウンドも含んでいます。海外の企業や人材、消費者などを相手にビジネスを展開することを海外展開と捉えています。
あるセミナーで登壇された方が、「弊社では上海のショールームに商品展示をしています」と言って経験談をお話されていましたが、その企業は現地でプロモーションや商談を全て外部機関に委託し、代表の方も現地に行ったことはなかったそうです。さすがにそれで海外展開の先駆者という紹介はちょっと、、、とツッコミをいれたくなりましたが、実際にはインバウンドだって外国人相手の商売とすれば、海外展開と言えます。つまり、海外展開の定義や仕方はそれぞれの会社次第で良いと思います。
そもそも、グローバリゼーションが注目されるようになった背景には技術発展があります。第2次世界大戦以降、航空機や鉄道などの移動手段が発達し、人や物が国境を超えて往来がしやすくなりました。国際的な決済ネットワークや資金調達、国際送金の仕組みが確立し、国を跨いだ資金のやり取りも容易になりました。
日本において、企業の海外展開が盛んになったのは1990年代からです。当時中国は世界の工場と呼ばれ、安価な労働力を求め世界中から中国への進出がありました。この頃には日本の大手企業の中国進出も盛んに行われ、取引のあった中小企業も一緒に海外進出するというケースがよく見られました。
その後は、中国での政治リスクやビジネスでのトラブルも発生するようになり、中国への一極集中を避ける「チャイナプラスワン」が提唱され、アジア諸国などでも工場が新設されるようになりました。一方で中国も世界の工場から世界の市場へと変貌を遂げ、インターネットの発展により流通形態も多様化し、日本にいながらにして商品を販売したり、海外から日本にやってきた外国人を相手に商売(インバウンド)をしたりするようになっています。さらに、物だけではなく、サービスも国境を超えて提供されるようになっていきていて、まさに海外展開の方法は様々です。
グローバル化が進むことで、国境を超えた国際取引が容易になり、貿易を通じた商品やサービス、海外への投資が増えることになります。結果、グローバル化によって、日本企業の商品やサービスの質が向上し、国際競争力も高まることが期待されます。これからは、海外を意識し、ビジネスを行っていく時代と言えるかもしれません。