企業が海外展開をする理由は様々です。「新たな市場を開拓して売上をあげたい」という理由は多く聞かれますし、「取引先との関係で現地に工場を設立する」「現地工場で生産することでコストを下げる」など製造に関する理由もあります。
新市場開拓や販路拡大については、日本国内で少子高齢化が進み、労働人口(購買力)が減少することや、失われた30年の影響で、物価高騰に対して給与が変わらず可処分所得が減っていることなど、海外展開をすることの重要性は高まっています。
売上を伸ばすことはもちろん、製造業にとっては海外での生産により人件費や材料費、税金などのコストを抑えることもできます。海外企業との繋がり(ネットワーク構築)で、国内の取引に留まらず、海外展開により利益を増やすことや新ビジネスへの可能性を広げることも期待できます。近年は、海外展開は特別なことではなくなっています。
もちろん、全ての企業が海外展開を目指すべきということではなく、業種業態によっては国内市場に目を向けたほうが成功の確率が高くなることもあります。また、会社の経営資源が十分でない企業の場合は失敗のリスクも高くなりますので、慎重になるべきだと思います。最近では、インターネットで海外の情報も簡単に入手でき、周りに海外展開をしている企業もあったりして、海外ビジネスを安易に捉える人も少なくありませんが、海外展開には時間や費用などが掛かり、リスクもあることも理解したうえで取り組む必要があります。
企業が「海外市場を求める」「海外に生産拠点を求める」ことに、正解や不正解はありません。私もよく海外展開の成功事例を教えてください、とお願いされることがありますが、先ず成功の定義が難しい(企業によって目的や目標が異なる)ことと、企業の経営資源のみならず、世の中のトレンドやタイミングなど外的要因も関係するので、A社の事例がB社に当てはまるかというと必ずしもそうではありません。個人的には、失敗から学べることのほうがむしろ多いのではないかと思っています。
海外展開に関しては、先ずは「自社」と「展開したい国(市場)」の状況をよく検証し、メリットとデメリット、チャンスとリスクを考えて判断をしてみてみると良いと思います。その時に、信頼できる外部の専門家に助言を求めることも一考の余地ありです。
海外への輸出は、市場が拡大している国は多くありますし、各国の賃金上昇や円安傾向も追い風をなり、チャンスは広がっています。この20年程人口が増え続け、生産力や消費購買力が上がり経済発展が著しいアジアなどは、まさにターゲットとなるでしょう。グローバルマーケットへの販路開拓を目指し、自社の商品やサービスを海外展開することは、多くの日本企業にとって前向きな選択肢となるはずです。
自社にとって海外展開が前向きな判断であれば、ぜひ積極的に行動しましょう。