2023年の日本の名目GDP(国内総生産)は4兆2,106億ドルで、ドル換算でドイツ(4兆4,561億ドル)に抜かれて世界4位になりました。長年の経済低成長やデフレに加え、外国為替相場で円安が進み、ドルに換算した際の規模が目減りしたことも影響しました。
GDP(Gross Domestic Product)は、日本語では国内総生産と言われ、国の経済規模を表す指標として世界共通で使われています。GDPは、「一定期間に国内で生み出された物やサービスの付加価値の合計」です。簡単に言えば、物やサービスを最終的に販売した金額から仕入れ値などを引いた金額になります。GDPには、訪日外国人が日本国内で消費した金額や、輸出なども含みます。
GDPには、名目と実質があり、名目GDPは市場価格をそのまま使って計算したもので、物価変動が数字にも表されます。物価が上がれば、GDPも増えます。先のドイツの例も、物価上昇がドイツの名目GDPを押し上げる要因となっています。一方、実質GDPは、ある年の価格水準を基準として計算されるので、物価変動の影響は受けません。名目と実質は必要に応じて使い分けられますが、
世界各国のGDPを比較する場合は、物価変動も経済力の要素を考えられるため、名目GDPが用いられます。
かつて日本は、1968年にアメリカに次いで世界2位の経済規模となりましたが、2010年に中国に抜かれ世界3位となり、今回ドイツに抜かれ4位となりました。全体のGDPでは成長著しいインドや中国は、日本より人口が圧倒的に多いため、一人当たりのGDPでは分が悪いのは当然です。2023年の人口世界一のインドの人口は14億2,860万人で、2位の中国の人口は約14億2,570千万人です。
ここで注目すべきは、ドイツの人口は約8,330万人で、日本の人口1億2,330万任の約3分の2しかいません。もちろん、円安ドル高の影響や、日本に比べ物価上昇率が高いドイツの名目GDPの伸びがより高くなることの影響はありますが、実は日本の一人当たりの名目GDPは、2022年にすでに先進7カ国で最下位に転落している事実は忘れてはいけないと思います。
日本の人口については、2060年には現在のドイツの人口とほぼ同じ8,674万人になるという推計があります。高齢者比率も上がり、一方で労働人口(購買力)は減少します。「失われた30年」で、経済の低迷や景気の横ばいが続いていて、日本人の所得も増えていません。平均賃金でみても、1990年~2020年で日本賃金は4.4%増に対し、アメリカ47.7%増、イギリス44.2%増、ドイツ33.7%増、フランス31.0%増となり、その差は顕著です。他のアジア諸国の賃金も上がっています。この間で日本企業の国際競争力も低下しているように感じますし、日本企業が世界時価総額ランキング上位に入らなくなりました。
弊社では、日本企業の積極的な海外展開を推進していますし、同時にインバウンドによる国内経済の活性化も目指しています。もちろんGDPの多寡が全てではありませんが、「企業の生産性の向上」「優秀な外国人人材の登用」などを積極的に進め、日本経済が再び成長すると信じて、これからも活動していきたいと思います。