日本政府観光局によると、2023年の訪日外客数は25,066,100人という結果になりました。(速報値。以下同)。4月の水際措置撤廃以降、訪日外客数は右肩上がりで伸び、年間累計ではコロナ渦前の2019年比78.6%と8割近い数値まで回復してきています。
2023年の地域別の訪日外客数に関しては、トップは韓国で6,958,500人、以下2位は台湾で4,202,400人、3位は中国で2,425,000人、4位は香港で2,114,400人、5位はアメリカで2,045,900人でした。
割合でみると、韓国は全体の約27.76%、台湾は約16.77%、中国は約9.67%、香港は約8.44%となります。東アジアとしては約62.64%、中華圏では34.87%、中国本土と香港を合わせると18.11%となります。
2019年は1億5,463万人もの中国人が海外に行っており、世界全体の観光支出のおよそ2割を中国人マネーが占めていたほど。日本でも、訪日外客数全体が31,882,049人で、地域別のトップが中国の9,594,394(約30.09%)でした。
その年に話題となった言葉を選ぶユーキャン新語・流行語大賞に「爆買い」が選ばれたのが2015年で、以降中国人の訪日数は2020年までは年間約100万人ペースで増え続けました。コロナ渦以降はその勢いは止まっていますが、これまで中国人によるインバウンド需要の恩恵は非常に大きかったと多くの人が感じていると思います。
そうなると気になるのは、直近の2023年における訪日外国人旅行消費額ではないでしょうか。こちらも速報値になりますが、全体としては5兆2,923億円(2019年比9.9%増)となりました。一人当たりの旅行支出は21万2千円(2019年比33.8%増)。
地域別の消費額では、台湾が7,786億(14.7%)、中国が7,599億円(14.4%)、韓国が7,444億円(14.1%)、アメリカが6,062億円(11.5%)、香港が4,795億円(9.1%)という順でした。ただ、上記5地域の一人当たりの旅行支出を見てみると、中国が319,924円でトップ、次いでアメリカの296,411円、香港の227,160円、台湾の187,921円、韓国の107,047円となり、中国人の消費額が多いことが分かります。なお、訪日外客総数としては少ないのですが、スペイン、イタリア、イギリス、フランス、ドイツのヨーロッパ諸国や、オーストラリアは、一人当たりの旅行支出が30万円を超えています。
支出項目では、多くの地域で宿泊費の割合が最も多いのですが、中国、香港、台湾は買物代の支出割合が一番になっているのが興味深いところです。総支出に対する買物代の割合は、中国37.64%、香港31.39%、台湾34.84%で、一人当たりの買物代は中国が119,484円、香港が71,203円、台湾が65,210円となっています。このことから、「爆買い」は終焉を迎えたとはいえ、いまだ中国人の購買は、他国を上回っている状況です。また、支出額としてはまだ少ないのですが、一人当たりの娯楽等サービス費についても中国は23,121円で最も多いという結果となっており、「モノ消費(買物)」から「コト消費(体験)」へとシフトしていくなかで、今後は娯楽等サービス費が増えることも予想されます。
一部では人手不足やホテル代金や移動費の高騰などもあり、オーバーツーリズムが生じているという声もありますが、それらを克服して、インバウンドが伸びていくことに期待します。